研究課題/領域番号 |
21590111
|
研究機関 | 摂南大学 |
研究代表者 |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)
|
研究分担者 |
倉本 展行 摂南大学, 薬学部, 准教授 (60324092)
米山 雅紀 摂南大学, 薬学部, 講師 (00411710)
|
キーワード | 神経細胞死 / 神経細胞新生 / トリメチルスズ / エダラボン / 神経系前駆細胞 / ニューロスフェアー / BrdU取り込み / 脳室下帯 |
研究概要 |
【目的】有機スズ化合物であるトリメチルスズ(TMT)はマウス海馬歯状回選択的に神経細胞傷害を誘発し、同部位において、その後の神経新生を促進する。本研究では、TMT誘発性神経細胞傷害後の新生細胞の生存に対する活性酸素消去薬の影響について解析を行った。 【方法】ddY系雄性マウス(5-6週齢)にTMT(2.8mg/kg)を腹腔内投与した。TM投与2日後から活性酸素消去薬edaravone(50mg/kg)を12時間毎に2日間あるいは7日間投与した。また、5-bromo-2'-deoxyuridine(BrdU, 50mg/kg)をTMT投与2日後から12時間毎に4回投与した。各処置動物の脳から矢状切片を作成し、海馬歯状回のBrdU陽性細胞およびproliferating cell nuclear antigen(PCNA)陽性細胞の変化を免疫組織化学法により解析した。 【結果・考察】BrdU陽性細胞はTMT投与4日後に著しい増加がみられた。その増加は対照群(edaravone未処置群)とedaravone処置群の間で著変は認められた。しかしながら、TMT投与9日目のBrdU陽性細胞を観察したところ、対照群で著しい減少が観察されたのに対して、edaravone処置群ではほTMT投与4日目の場合と著変が認められなかった。一方、PCNA陽性細胞はいずれの場合でも対照群とedaravone処置群との間に差異はみられなかった。 以上の結果より、活性酸素消去薬が神経細胞傷害後の誘発される神経系前駆細胞の増殖に影響しないことが示された。しかしながら、新生細胞の生存を著明に促進するが明らかとなった。したがって、活性酸素消去は神経細胞傷害後の神経新生を促進することから、活性酸素消去薬が神経新生を介する神経変性疾患治療に有用である可能性が推察される。
|