研究課題/領域番号 |
21590113
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
藤室 雅弘 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (20360927)
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研究分担者 |
平 敬宏 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (70197036)
王賀 理恵 山梨大学, 医学部, 助手 (00160432)
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キーワード | 創薬 / ウイルス / がん / 感染症 / 抗ウイルス薬 / リンパ腫 |
研究概要 |
1994年に発見され、γヘルペスに属すカポジ肉腫関連ヘルペスウイルス(KSHV)は、感染者の免疫不全時に、B細胞性リンパ腫やカポジ肉腫等の日和見腫瘍を起こす。KSHVは、既存の抗ヘルペスウイルス薬であるアシクロビル(ACV)やガンシクロビル(GCV)に抵抗性を有することから、KSHVに対する有効な抗ウイルス薬の開発が急務とされている。我々はKSHV感染がん化B細胞に対して、高いウイルス選択性と殺細胞活性を有するヌクレオシド誘導体類を開発している。これら核酸代謝拮抗薬のウイルス選択性はKSHVの発現するチミジンリン酸化酵素(ORF21)やリン酸基転移酵素(ORF36)によるモノリン酸化効率と推測されるが、その真偽や作用機序は不明である。また、KSHVのORF21とORF36の基質特異性や生理的基質が明らかになれば、それらの情報は抗KSHV薬設計や開発を行なうための有益な情報となる。そこで、我々はKSHVのORF21とORF36の基質特異性の解析や、生化学的な機能解析を行なった。 ACVと我々の開発した核酸誘導体類をin vitroリン酸化反応の基質に用い、KSHVの発現するチミジンリン酸化酵素(ORF21)によるリン酸化を行い、逆相HPLC(C30)により各ヌクレオシド誘導体類のモノリン酸化効率を測定した。その結果、KSHVのORF21はHSV-1のTKと比較すると、ACVのモノリン酸化活性が顕著に低いことが明らかになった。さらに、KSHVのORF21は我々の抗KSHV化合物をモノリン酸化することから、抗KSHV化合物のウイルス選択的な殺細胞活性は、ORF21によるモノリン酸化作用に起因することが明らかになった。一方で、KSHVのORF36の機能解析により、ORF36はORF36がE2F依存的転写活性化に関与し、KSHV感染細胞の細胞周期のG1期からS期移行を促進していることを明らかにした。 また、NF-kB、Wnt、E2F、AP-1、STAT等のルシフェラーゼ・レポーター遺伝子を用いたプロモーター解析によりORF36がE2F経路の転写活性化を亢進することを明らかにしている。
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