研究課題
ヌクレアーゼ耐性でかつ標的とする遺伝子以外の遺伝子の発現が抑制されてしまうオフターゲット効果の軽減を目的とし、ヌクレオシドの糖部を開環し、さらに側鎖に三重結合を導入した糖部開環型ヌクレオシドアナログT^aを設計・合成した。UおよびCの代わりにアナログT^aを導入したsiRNAを合成し、HeLa細胞を用いたdual-luciferase reporter assayによりその遺伝子発現抑制能を検証した。アナログを導入することで二重鎖の熱力学的安定性が変化することを期待した。その結果、センス鎖の3'-末端領域にアナログを導入することで、siRNAの活性が向上すること分かった。この活性の向上はアナログ導入することによる二重鎖の不安定化に起因することが示唆された。また、3'-オーバーハング部位ヘアナログを導入することで、siRNAのヌクレアーゼ耐性も向上することが分かった。引き続き、Uの代わりにアナログT^aを導入したmiRNAを合成し、その活性を検証した。miRNA二重鎖としてmiR-199a-5p/miR-199a-3pを選択した。各鎖の標的配列を組み込んだベクター(psi199a-5p vector及びpsi199a-3p vector)を調整し、HeLa細胞を用いてその活性を検証した。その結果、アナログの導入部位置の違いにより、その遺伝子発現抑制能も変化した。アナログT^aを導入した鎖の遺伝子発現抑制能は低下する傾向にあった。miR-199a-5p鎖の3'-末端領域にアナログを導入すると、miR-199a-3p鎖による遺伝子発現抑制能が向上した。これは、アナログを3'-末端領域に導入することにより、結果として逆鎖の5'-末端が熱力学的に不安定化したためと考えられる。この結果は、アナログT^aの導入は、導入した鎖とは逆の鎖の鎖の選択性及び活性を向上させる上で有効な修飾法と考えられる。以上の結果から、申請者が開発した糖部開環型ヌクレオシドアナログT^aは、siRNA及びmiRNAの機能を向上させる上で有効な修飾体であり、今後の更なる展開が期待される。
すべて 2011
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
Bioconjugate Chem.
巻: 22 ページ: 42-49
DOI:10.1021/bc100301w