研究概要 |
(1)ジヒドロピラノヌクレオシド誘導体の合成:cis-1,4-ジヒドロキシブタジエンの水酸基の一つをシリル化した後、エポキシ化と引き続くビニル基の導入を行いtrans-ホモアリルアルコールを調製した。このtrans-ホモアリルアルコールの1級水酸基をシリル基で保護した後、アクロレインジエチルアセタールとのアセタール交換、さらにGrubbs触媒による閉環メタセシス反応を行い、ジヒドロピラン誘導体を合成した。得られたジヒドロピラン誘導体は、シリル化した核酸塩基とのVorbruggen法によるグリコシル化反応に付し、得られたヌクレオシド誘導体の脱保護を経て、目的とするジヒドロピラニルヌクレオシド誘導体の合成を行った。しかし、Vorbruggen法によるグリコシル化反応では位置異性体を含めた3種の異性体の混合物を与え、合成効率の点で問題が残った。 (2)ジヒドロチオピラノヌクレオシド誘導体の合成:trans-1,4-ジヒドロキシブタジエンを出発原料とし、エポキシ化と引き続くビニル基の導入によりcis-ホモアリルアルコール誘導体へ導いた。得られたcis-ホモアリルアルコールに対し、アリルスルフィドユニットの導入、閉環メタセシス反応を行い、ジヒドロチオピラン誘導体を合成した。このジヒドロチオピラン誘導体を、対応するスルホキシドへ変換した後、当研究室で開発したPummerer型チオグリコシル化反応に付し、ジヒドロチオピラノヌクレオシド誘導体へ誘導した。得られたヌクレオシド誘導体は、塩基部をシトシンに変換した後、脱保護を行い、目的とするジヒドロチオピラノヌクレオシドへ導いた。得られた化合物の内、β-シチジン誘導体が抗HIV活性を有することを見出した。
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