研究概要 |
D-リボースから調製したα-L-リボノラクトン(1)をヒドリド還元し、引き続くメシル化により2を合成する。ジメシル体2はNa2Sとの閉環反応によりテトラヒドロチオフェン誘導体(3)とした後、一級水酸基の脱保護と酸化反応により、アルドール反応の基質となる4を得た。次に、アルデヒド4をNaHCO3の存在下、ホルムアルデヒドと反応させアルドール成績体5を合成した。この反応のエノラート中間体とホルムアルデヒドの反応は、水酸基のアルキリデン保護基の立体障害によりコンベックス面で反応し、目的の立体化学を有するアルドール5aが主成績体として50%の収率で得られた。その際、異性体5bが18%で副生した。アルドール5aの水酸基をTBDMS基で保護した後、ホルミル基をエチニル基に変換し、6を得た。エチニル体6はt-ブチルリチムで処理したところ、酸性度の高い2位の水素原子の引抜きを開始段階とする脱離反応が進行し、グリカール7が得られた。グリカール7は水酸基を1,1,3,3-テトライソプロピルジシロキサン(TIPDS)基で、更にエチニル基の末端をトリエチルシリル基で保護することにより、糖供与体となる8へ変換した。合成したグリカール8は、N-ヨードコハク酸イミド(NIS)を求電子剤として用いるシトシン、アデニンおよびグアニンとのグリコシル化により、4'-チオヌクレオシド誘導体9-11を得た。ヌクレオシド9-11は2'位のヨウ素置換基のラジカル的な還元と脱保護により、標的化合物12-14へ変換した。本研究により合成した新規4'-エチニル-2'-デオキシ-4'-チオヌクレオシド12-14は抗ウイルス活性を調べたところ、抗HIV活性を示した。
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