研究課題
本年度は、活性発現のメカニズム解析より一段踏み込んで、実際の創薬に向けた実用計算の第一フェーズと位置付けた。従来までのインフルエンザウイルスの表面糖タンパク質ヘマグルチニン(HA)以外に、実際の抗インフルエンザ薬のターゲットタンパク質であるノイラミニダーゼ(NA)などに計算対象を拡大した。タミフル耐性の原因となる変異について理論的に解析し、新規薬剤開発に向けた新たな指針を探索した。さらに、肥満などに付随する生活習慣病治療薬のターゲットとして、近年、大きな注目を集めているペルオキシゾーム増殖応答性受容体-Y(PPAR-Y)も対象として取り上げた。このPPAR-Yは当初、オーファン受容体として同定され、この受容体のLBPが他の受容体のLBPに比べてそのサイズ(1400Å^3)がはるかに大きく、従来の方法に基づいたstructure based drug design(SBDD)によるアプローチだけでは、実際の創薬は困難であると考えられていた。そこで、本申請研究では、対象リガンド化合物だけではなく、リガンド結合に伴うLBP部分の構造最適化計算を実行し、結合状態をab initioレベルで再評価した。さらに、開発途上の各種新規薬剤候補化合物に対しても同様な解析を行って、より高活性な新規化合物の分子設計を試みた。実際のLBP内の構造最適化においては、諸熊らのONIOM法によって蓄積された最新理論化学のノウハウに基づいて、典型的な候補化合物からデータを収集して、効率化を図った。
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http://www2.rikkyo.ac.jp/web/tokiwa/study-ver2.html