研究課題
本年度は、本申請研究の最終年度として、昨年度まで実行してきた理論的手法の整備構築フェースに引き続いて、実際の新規薬物の設計開発に向けたとりまとめの年次と位置付けた。特に、今まで取り扱っていた対象系に加えて、地球規模で進行する温暖化に伴い世界中で流行するウイルス感染症のうち、化学療法剤およびワクチンの開発が遅れているウイルス感染症として、ヒトパラインフルエンザおよびデングウイルスを取り上げた。リレンザやタミフルなどのインフルエンザに有効な薬剤が効かないとされるパラインフルエンザに対して、プロパルギル置換基の先端にヘテロ芳香環を導入した新規薬物候補化合物が、ターゲットサイトのアミノ酸残基と安定な水素結合ならびに有効なCH一π相互作用をし、従来までのシアリダーゼ阻害薬が主にイオン性相互作用によりその有効性を発揮したのに対して、異なる阻害活性発現機構を有することを明らかにした。ヒトパラインフルエンザ1型および3型の両者に対して最高活性を有する化合物を基に、さらなる高活性を狙った化合物を理論的に設計し、現在、合成開発中であり、今後の活性測定が待たれる。さらに、現在まで治療薬が全くないデングウイルスに対しても、従来までの空間充填型創薬とは全く異なる視点による理論的創薬指針に基づき、低分子で最高活性を有するスルホニル基を導入した単糖誘導体が、ターゲットウイルスの表面膜タンパク質にどのように作用するのかを理論的に明らかすることができた。また実際の実験室レベルにおいても、簡便に本申請手法に基づいたde novoシミュレーションが実行可能となるように、汎用プログラムとのインターフェースを整備し、リガンドだけでなく複合体全体のモデリング・理論計算ができるようにした。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件) 学会発表 (23件) 備考 (1件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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http://www2.rikkyo.ac.jp/web/tokiwa