研究概要 |
リボザイムの反応機構は、ほとんど解明されていない現状にある。我々は、最初にC4-置換イミダゾール(Imz)C2'-O-TMS-リボヌクレオシドホロアミダイド(C_0-PA,1)を創製し、リボザイムの中心塩基にImzを挿入することで、「リボザイムの反応機構を解明する新しいchemogenetic method」を開発した。しかし、ここで用いた1は、不安定であり、またVSリボザイムの活性中心のひとつG638では弱い活性しか示さなかった。そこで、新たにリボースとImz間に2炭素増炭したC_2-PA(2)をデザインし、その合成に成功した。この研究の中で、Imz-NにPOM基、2’-OHにシアノエチル(CE)基を用いる新しい保護基の組み合わせを用いることで安定な2が生成することを見出した。C_0-PA(1)は、多くの応用性を持つため、POM-CEの組み合わせを、適応したところ10工程、総収率41%で、効率的にImz-N-POM-2’-O-CE-PA(3)を合成することにに成功した。 一方、OUP-165は、エストラジオール(E_2)とC_2-Imzが炭素スペーサーで結合したハイブリッド化合物であるため、基盤構造のC_0-Imzを持つハイブリッド化合物(4)の合成研究を新たに行った。共同研究者の高岡正徳教授(大薬大)は、E_2の生合成酵素、ヒト17β-HSDに対してOUP-165(IC_<50>:3.5μM)と4(IC_<50>:>10μM)の阻害活性を調べたところ、ImzとリボースにC_2スペーサーを持つOUP-165の方がより強い阻害活性を示すことを明らかとした。このように、炭素鎖の違いが明確にヒト17β-HSDに対する阻害活性に反映されることから、構造活性相関の研究を進める基盤を作ることができた。次年度は、スペーサーの違いに基づくOUP-165の構造活性相関を進める。
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