研究概要 |
我々は、イミダゾールをRNAに導入する種々のイミダゾール Cn-リボヌクレオシドホスホロアミダイトを開発し、イミダゾール置換リボザイムを合成した。さらに、それらを用いてリボザイムの特定の塩基が一般酸-塩基触媒として機能する事を明らかとする化学遺伝学的手法を報告した。一方、DNA領域では、これまでイミダゾールの役割を生かす研究はわずかであったため、H25年度は、その合成化学的手法を、DNAに拡張することを計画した。その結果、DNAに適用できるイミダゾール Cn-デオキシリボヌクレオシドホスホロアミダイトの合成、それによる多数のイミダゾール置換DNAの効率合成に成功した。また、イミダゾール-核酸塩基対によるTm値の変化の測定とAMBERによる分子モデリング研究を行った。これらの成果は、現在 Organic & Biomolecular Chemistry に投稿中(MSID: OB-ART-04-2014-000782)である。 一方、乳癌の増殖抑制に関する研究は、これまでのエストラジオール-イミダゾールヌクレオシドのハイブリッド分子から、全く新しい展開が生まれた。従来のイミダゾールC-ヌクレオシドを基盤にしたヒスタミンH3及びH4受容体リガンド研究の中から、ヒトとラットの動物間種差を明確に区別する新しい化合物群(OUP-181,186)を発見することに成功し、その成果を昨年、速報した(Bioorg & Med. Chem. Lett.,23, 6415, 2013)。この研究は、我々にヒスタミンH3受容体と乳癌との関係についての関心を深めさせ、共同研究者の高岡昌徳教授らのOUP化合物のヒトの乳癌細胞増殖抑制作用を明らかとさせた。殊に、CF3基を持つOUP-188は、著しい抗乳癌作用を示し、H26-28年度の新たな科研費採択(課題番号:21590130)に繋がった。
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