平成21年度では、肺動脈内皮細胞、肺胞上皮細胞、肺胞マクロファージ等を用いて、凝固系の活性化と炎症性サイトカインの産生に及ぼす影響を検討した。また、タバコによる肺障害における凝固因子の関与を明らかにするため、喫煙誘発肺障害マウスモデルを作製した。 1)In vitro実験では、肺胞上皮細胞、血管内皮細胞、肺胞マクロファージ、血管平滑筋細胞をcigarette extractの存在下で24時間培養し、細胞膜上または培養上清中の組織因子や炎症性サイトカインの濃度を測定した。 2)In vivo実験では、BALB/cマウスに対して、cigarette extractを1日に3回7日間吸引させ、タバコによる肺傷害モデルを作製し、気管支肺胞洗浄液中のサイトカイン等の炎症マーカーを測定した。 その結果、in vitro実験ではcigarette extractは肺胞上皮細胞、血管内皮細胞からの炎症性サイトカインと凝固系活性化因子の産生を亢進することが明らかになった。In vivo実験ではcigarette smoke吸入により気管支肺胞洗浄液中の組織因子と炎症性サイトカインサイトの濃度が高値であった。 以上の結果より凝固系因子が喫煙誘発肺障害の機序に関与することが示唆された。
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