研究課題
日本各地で購入した天然のキハダマグロとビンナガマグロの安定同位体(8^<13>Cと8^<15>N)を測定したところ、8^<13>Cと8^<15>Nの間に負の相関関係が認められた。これは捕獲された緯度の違い(latitutional effect)を反映したものと考えられる。一方、より大きな回遊をするクロマグロの場合では正の相関関係が認められ、この変化は回遊中の捕食生物の変化によるものと推定しているが、詳細は不明である。魚介類での8^<18>O分析報告はこれまで見当たらないが、8^<18>Oは海水温度を反映し南の地域の魚ほど高いと予想された。そこで日本周辺を南北に大きく回遊しているヒゲクジラの赤身肉中の8^<18>Oを分析したところ、予想どおりの結果を得た。現在天然クロマグロ、キハダマグロおよびビンナガマグロの8^<18>Oを測定中であり、この結果からクロマグロとキハダマグロおよびビンナガマグロでの8^<13>Cと8^<15>Nの結果の相違をさらに明らかにし、解明できると思われる。これまで沖縄、和歌山および静岡で購入したキハダマグロの水銀、有機塩素系化合物および安定同位体を分析したが、小笠原、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランドなどで購入し冷凍保存していたキハダマグロを分析し、地域差をさらに検討した。この結果から赤道に近い地域で捕獲されたものほど水銀濃度は高く、高緯度ほど低いと思われる傾向が認められた。現在この傾向をメカジキなどの保存試料で確認中である。小笠原、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランドで購入したキハダマグロの8~<15>Nは沖縄、和歌山、静岡より高く、黒潮流域の8^<15>Nは低いとするこれまでの報告と一致した。
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