潰瘍性大腸炎(UC)の発症に関しては、これまでの多くの知見から特定の腸内細菌との関連性が取り沙汰されているが、膨大な量の腸内細菌叢の陰に隠れ、その原因菌の特定は出来ていない。UC発症にかかわる責任微生物を特定し、加えて有効な抗菌薬の検索を行うことを目的として研究を行っている。 2年目は、初年度にDGGE解析によりUCマウス特異的と思われるバンドが見出されたこと、その特異バンドを切り出し、塩基配列から菌種名を特定する試みが十分な信頼性をもって実行し得なかった事より、同様のサンプルを使い、pyrosequenceにより網羅的に塩基配列を決定するメタゲノム解析を行った。 その結果、健常マウスにはなくUCマウスに特異的に検出される複数の菌群由来の塩基配列を見出すことに成功した。それらの菌群の中には、文献的にUCと同じ慢性疾患であるクローン病の原因であると推定されているものも含まれており、UC発症との関連の可能性がひときわ高いものも含まれていた。 現在、これらの論文著者より菌株分与の連絡を取り、一部については入手することができた。 最終年度は、上述の菌株でUC症状を再現できるかを確認し、加えて有効薬剤の選定を行いたい。
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