研究課題
本研究は、主要な食中毒原因菌であるサルモネラ・エンテリティディス(Salmonella Enteritidis;以下、SEと略す)を用いて、サルモネラの乾燥耐性の測定法を確立し、乾燥耐性に関与する遺伝子及び環境因子を明らかにし、サルモネラの乾燥耐性獲得機構を解明すること、及び、環境中における乾燥耐性の獲得と病原性の獲得に相関性があるか否かを検討することを目的とする。さらに、環境中のSEの乾燥耐性発現に関連する食中毒の発生を予防するための、新たな対策を確立することも目的とする。本年度は以下の研究成果を得た。(1)SEの乾燥耐性獲得におけるsep22遺伝子の関与の解析:SEp22発現が乾燥耐性獲得に果たす役割を確認するため、備品として購入した遺伝子導入導入装置を使用し、sep22遺伝子欠損変異株にsep22遺伝子を導入した。4株の復帰変異株を作成し、SEp22のmRNA及びタンパク質の発現を確認した。現在、SEp22の表現型の確認及び乾燥耐性の復帰について実験を進めている。(2)サルモネラの乾燥耐性の獲得と病原性に関する解析:SEp22の発現がマウスに対するサルモネラの致死毒性に果たす役割を検討するため、数十株の環境分離株を解析し、SEp22の発現量と病原性の強さに関する相関関係を調べた。その結果、SEp22の発現がある一定の値を超えるとマウスに対する病原性が現れることを見出した。現在は、乾燥耐性株のSEp22発現量と病原性発現の関連を解析中である。(3)乾燥耐性獲得における栄養因子の役割:SEが乾燥耐性を獲得するために必要な栄養因子について、M9最少培地を用いて解析した。その結果、リン酸及びグルコースをともに要求することが明らかになった。現在、こらの栄養因子による乾燥時のSEの生化学的な代謝反応について検討中である。
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Microbes Environ 24
ページ: 121-127
Biosci.Microflora 28
ページ: 81-88
