研究概要 |
肥満化脂肪細胞からアディポカイン分泌のアンバランスがメタボリックシンドロームの進展・悪化に大きく影響する。日本人は必ずしも肥満でなくても糖尿病になる場合も多く、他の要因がその分泌に影響を与える可能性がある。 (1)カドミウム(Cd)による脂肪細胞縮小化がCdの直接的な作用である可能性を検討した。メタロチオネイン遺伝子発現欠損(MT^<-/->)マウスを用いて0.5,0.75mg/kgCdを7日間連続投与した。脂肪細胞のサイズ、及び血清中レプチン濃度は用量依存的に減少し、MT欠損ではより大きく影響を受け、Cdによる直接作用であることが明らかとなった。 (2)脂肪細胞への脂肪取り込み促進するMest遺伝子発現はinvitroでは容易に起こらないので、脂肪細胞分化モデル前駆脂肪細胞株3T3-L1を用いたモデル系を確立し、Mest遺伝子発現に影響しうる化合物を検索した。cAMPアナログ8-Br-cAMP処理あとにMestmRNAは増大し、cAMP増大によることが明らかとなった。 (3)(1)芳香族炭化水素受容体の構造が異なる2系統のマウスに高脂肪食摂取下、リガンドの脂溶性化合物(ベーターnaphthoflavone(BNF),3-methylchoranthrene(3-MC)を投与すると、白色脂肪組織重量はBNF処理によりB6マウスでは減少傾向が見られたが、3-MC処理の両系統マウスでは変化はなかった。脂肪酸合成に関与するSCD-1 mRNAの有意な低下が認められた。(2)3-MC処理のB6マウスでは、脂肪酸合成に関与するSCD-1 mRNAの有意な低下が認められ、インスリン感受性亢進に寄与するadiponectinおよびleptinm RNAは減少傾向が見られた。AhR活性化が脂肪組織に与える影響は、AhR活性差やリガンドに依存する可能性があると考えられる。
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