研究概要 |
マウス粘膜免疫成立メカニズム解析と環境アレルゲンの減感作への応用に関し,以下の4項目の検討を行った. (1)経口易感作性c-kit欠損W/W^vマウスとその野生型親系統(WBB6F1)マウスのOVA経口感作後のGALTのDNAチップを用いる網羅的遺伝子発現解析により,インターフェロン応答遺伝子等に変化が見られた. (2)IEL(腸管上皮細胞間リンパ球)のTCRγδ-T細胞の割合を,W/W^vマウス,B10Aマウス,BALB/cマウスのIELのフローサイトメトリーにより解析し,W/W^vマウスで,TCRγδ-T細胞の割合の低下の見られることが判明した. (3)BALB/c胎仔マウス由来の小腸腸管上皮細胞の初代培養系にSV40ラージT抗原遺伝子をレトロウイルスベクターを用いて導入し、過剰発現させることにより不死化したマウス小腸由来腸管上皮細胞株MoS13及び,ラットマスト細胞株RBL-2H3を用いて,エキソソームの単離方法を検討した. (4)微生物菌体構成成分である非メチル化CpGモチーフを有するDNA(CpGDNA)の卵白オボアルブミン(OVA)を共有結合させたCpG-OVAを作成し,non-CpG-OVAを対照として,W/W^vマウスに経口投与し,抗原特異的Th1応答性の増強が観察された.また,酵母細胞壁由来多糖体グルコマンナンとソバアレルゲンFag e 1の複合体の経口投与により,Th1細胞の増加及びTh2細胞の減少が観察され,BALB/cマウスにソバ抗原を腹腔内投与して作成したソバアレルギーマウスのIgE抗体産生,脾臓のTregの誘導等のアレルギー症状の低減が観察された.
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