研究課題
1986年にラットよりvaultが細胞内オルガネラとしてcoated vesicleから単離させた。電子顕微鏡による解析から、形態がゴシック様式の大聖堂のアーチ型に似ているためvaultと名づけられた。Vaultは中空になっており、その中に70Sリボゾームを数個取り込めるほど大きく、今日報告されている中で最大のリボ核蛋白体を形成している。Vaultの構成成分であるmajor vault protein(MVP)のノックアウトマウスが作製されたが、明らかな病態は観察されず、その生理機能は現在まで不明な点が多い。今回、我々は、MVPの発現調節機構に着目し解析を行った。MVPの発現は、ヒト大腸癌細胞株(SW-620)、ヒト咽頭癌細胞株(KB3-1)、ヒト腎癌細胞株(ACHN)、ヒト肝臓癌細胞株(Hep-62)、ヒト子宮頚部癌細胞株(yumoto)で認められた。MVPの局在を共焦点顕微鏡で調べたところ、主に細胞質であった。MVPのプロモーター領域にはY-box、MyoD、GATA、E-box、Sp-1、p53、STATが存在する。MVPのプロモーターをルシフェラーゼ遺伝子の5'上流に挿入したベクターをSW-620細胞にトランスフェクトし、デュアル-ルシフェラーゼアッセイを行ったところ、E-box領域が重要であることが分かった。E-boxに結合する蛋白質の1つにUpstream stimulatory factor 1(USF-1)が知られている。USF-1のMVPへの影響を調べるために、USF-1を標的とする21塩基の二本鎖RNA(siRNA)を作製し、リポフェクトアミンでSW620細胞、ACHN細胞に取り込ませ遺伝子発現を抑制したところ、MVPの発現が抑制された。さらに、USF-1がMVPのプロモーターに結合するかどうかを調べるために、クロマチン免疫沈降(ChlP)法を用いて解析したところ、USF-1は、MVPのプロモーターに結合していることが判明した。現在、抗癌済で誘導されるMVPの発現に重要な転写因子の同定を行っている。
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