研究概要 |
ヒト小腸および肝ミクロソームを用いて、リトナビルによるCYP3Aに対する競合阻害パラメータ(Ki)値およびmechanism-based inhibitionによるCYP3A不活性化のパラメータ(K'app、kinact)値を算出した。また、Caco-2細胞を用いた輸送実験から、基質であるトリアゾラム、阻害薬であるリトナビルの小腸上皮細胞内動態パラメータ(排出クリアランスなど)を得た。 一方、我々が構築してきたITAM(Intestinal transit, absorption and metabolism)に肝灌流モデルを連結することで、経口投与された薬物の血中薬物濃度推移、バイオアベイラビリティ(F)、小腸アベイラビリティ(Fg)および肝アベイラビリティ(Fh)を予測するモデルを構築した。構築されたモデルに基質(トリアゾラム)の代謝、小腸上皮細胞内動態および体内動態に関するパラメータ、さらに阻害薬(リトナビル)の阻害、代謝、小腸上皮細胞内動態および体内動態に関するパラメータを代入して、トリアゾラム単独投与時とリトナビル併用時における、トリアゾラムのAUCを算出した。その結果、リトナビル併用時にトリアゾラムのAUCは20倍~47倍に増大すると予測され、この値はヒトにおける報告値(約40倍のAUC増大)と同程度であった。
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