研究課題
サリドマイドの代謝に関して、ヒトCYP発現系を用いて検討を行なったところ、CYP2C19, CYP3A4, CYP3A5およびCYP3A7で代謝物の5-水酸化体の生成が認められた。解析の結果、CYP2C19の代謝様式は双曲線型であり、Vmax、Km値はともに高い値を示した。一方CYP3A4およびCYP3A5の代謝様式はシグモイド型であり、VmaxおよびS50はCYP2C19に比べて低い値となった。協同性の指標となるHill係数はそれぞれ、約2であったことから複数のサリドマイド分子がCYP3Aに対して協同的に作用していることが示唆された。また、サリドマイド代謝へのCYP3Aの関与はCYP3A4よりも高いことが明らかとなった。検出された水酸化体について、反応系にGSHまたはシステインを添加すると水酸化体のピークの減少に伴いGSHおよびシステイン添加量に依存した新規の代謝物ピークが認められたことから、サリドマイドの代謝物はSH基との反応性に富んだ特徴を有していると示唆された。今回大腸菌発現系を用いたCYP3A7に関して5-水酸化体の生成が認められた事から胎児におけるサリドマイド毒性発現には、胎児型CYP3A7による代謝活性が関与している可能性が強く示唆された。In vitroでサリドマイドの添加により、ヒト肝CYP3Aの指標活性であるミダゾラム水酸化活性には上昇傾向が認められ、さらにこの影響はCYP3A5*1を有している場合に顕著に認められ、Ke値から十分に臨床用量でも起こりうる可能性が指摘されCYP3A5の発現頻度の高い日本人においては臨床使用では十分な配慮が必要であることが示唆された。
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