研究概要 |
単層カーボンナノチューブ(SWCNT)は製造過程において金属触媒および炭素不純物を含むため、SWCNTの純度はアミノ基導入からin vitroおよびin vivoでのSWCNTのドラッグキャリアーとしての有用性の検討までの各段階で重要なポイントとなる。今年度は、SWCNTの精製、酸化によるSWCNTへのカルボキシル基の導入、SWCNTの側壁へのアミノ基導入および市販のアミド化SWCNTへの蛍光ラベル化を行った。SWCNTの精製および酸化は硝酸または硫酸硝酸混合液を用いて加熱還流することで行い、電子顕微鏡およびラマンスペクトルによりSWCNTの表面状態や純度を評価した。精製・酸化過程を繰り返すことにより高純度かつ繊維がほぐれて化学反応性が向上したSWCNTを得た。更に精製・酸化したSWCNTを用いて、1,3-双極子付加環化反応によるアミノ基の導入および縮合反応による末端アミノ化ポリエチレングリコールの導入を行った。SWCNTは水にも有機溶媒にも溶解せず、分散してもすぐに凝集するが、官能基を導入することでSWCNTの分散性が改善した。また市販のアミド化SWCNTを用いて、SWCNT側壁のアミド基と活性エステル基を有する蛍光物質との縮合反応により蛍光ラベル化を行い、蛍光強度測定によりSWCNTへの蛍光ラベル化を確認した。現在、これらの反応条件の改善により、in vitroおよびin vivoにおいて細胞内動態、生体内動態の検討に十分な蛍光強度を有する蛍光ラベル化CNTの作成を進めている。
|