研究課題/領域番号 |
21590184
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
池川 繁男 近畿大学, 薬学部, 教授 (90111301)
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研究分担者 |
三田村 邦子 近畿大学, 薬学部, 准教授 (70242526)
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キーワード | LC/MS / 胆汁酸 / テトラヒドロコルチコステロイド / 安定同位元素標識体 / メタボローム / グルタチオン / サルフェート / エレクロトスプレーイオン化 |
研究概要 |
ソフトイオン化質量分析法を基盤とする内分泌・代謝疾患のメタボローム解析法を構築し、遺伝的素因や生活習慣などの要因が複雑に関係した疾患の診断、予防、そして治療法の開発を目的としてこれまでの研究成果を基に今年度は以下の研究を行った。初めに、尿中抱合型テトラヒドロコルチコステロイド(THC)にフォーカスドしたメタボローム解析法を構築すべく、3種の多重重水素標識体を合成した。引き続き、これらを活用した硫酸抱合型THC 18種の安定同位元体希釈LC/ESI-MS/MSによる高感度測定法を開発し、本法が内分泌疾患のみならず、生活習慣病の診断・予防に有用なことを示した。さらに、これまでに明らかにした胆汁酸の代謝活性中間体によるグルタチオン(GSH)抱合体の生成と胆汁排泄に関する知見を基に、各種肝胆道疾患患者の胆汁中に排泄されるGSH抱合体をLC/MS/MSによって精査し、先天性胆道拡張症と非症候性小葉間胆管減少症の患児ではケノデオシコール酸とリトコール酸がGSH抱合体として排泄されていることを明らかにした。また、GSH抱合型胆汁酸(BA-GSH)の体内動態解明の一助として硫酸抱合を取り上げ、ヒト主要胆汁酸5種のGSH-硫酸二重抱合体を標品として合成するとともに、LC/ESI-MS/MSによる高感度測定法を開発し、本法によって、BA-GSHがラット肝サイトゾール画分において硫酸抱合を受けて3-サルフェートに変換されるものの、容易に加水分解を受けて遊離型BA3-サルフェートに変換されることを明らかにした。これらの知見は、今後、肝胆道疾患の病因・病態解析のみならず、新規治療法を開発する上に大きく役立つものと期待される。
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