研究課題/領域番号 |
21590191
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
佐井 君江 国立医薬品食品衛生研究所, 機能生化学部, 主任研究官 (20195960)
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研究分担者 |
斎藤 嘉朗 国立医薬品食品衛生研究所, 医薬安全科学部, 部長 (50215571)
香取 典子 国立医薬品食品衛生研究所, 薬品部, 主任研究官 (60142121)
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キーワード | 薬剤反応性 / ゲノム / 臨床 / 薬理学 / 抗がん剤 / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究は、薬物結合性血漿蛋白のAGPをコードするORM遺伝子(ORM1およびORM2)の日本人の遺伝子構造を明らかとし、抗がん剤の薬物応答性に影響する遺伝子型を同定することを目的としている。本年度は、パクリタキセル投与患者のDNA試料を用いて、ORMの遺伝子数多型および両遺伝子領域を含むハプロタイプ解析を行った。また、予備解析として血清AGP値ならびにパクリタキセル薬物動態(PK)・副作用(PD)に影響する患者背景因子について調べた。 1.ORM(ORM1およびORM2)遺伝子数の解析 165名のDNA試料を用い、ORM1およびORM2の遺伝子数を解析した。その結果、単一型、ORM1の重複型およびORM2の重複型の頻度は、それぞれ0.685、0.309および0.006であった。 2.ハプロタイプ解析 単一型(ORM1-ORM2)のDNA試料(113名)を用い、両遺伝子の全エクソン、近傍イントロン、およびプロモーター領域(約1kb)における遺伝子多型を解析した結果、ORM1には43種(新規17種)の多型、ORM2では40種(新規15種)の多型が検出された(アレル頻度:0.004~0.429)。このうち、アミノ酸置換をもたらす多型は、ORM1およびORM2でそれぞれ3種および2種(新規1種)、プロモーター領域の多型では13種(新規5種)および14種(新規3種)であった。この情報を基に、両遺伝子領域を含むハプロタイプ解析を行った結果、41種のハプロタイプ(4種のグノレープに分類)が同定された。 3.AGP値、PK/PDに影響する患者背景因子 AGP値は肝機能と相関し、パクリタキセルPK/PDも肝機能による影響が大きかった。 以上により、日本人のORM遺伝子構造が明らかとなり、AGPの発現や機能に影響をもたらす可能性のある多型が複数同定された。
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