研究課題/領域番号 |
21590198
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
鶴尾 吉宏 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (90207449)
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研究分担者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
伊藤 隆雄 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30315931)
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キーワード | RNAヘリカーゼ / 神経系 / 遺伝子改変動物 / 分子形態学 |
研究概要 |
我々は、未熟なオリゴデンドロサイトを抗原として作成したモノクローナル抗体の中に特異的にオリゴデンドロサイトを認識するモノクローナル抗体(4F2)が存在することを確認した。次に、このモノクローナル抗体が認識する分子を生化学的に検討し、この分子がRNAの機能調節に関与するRNAヘリカーゼであり、DEAD-boxタンパクに分類されるDdx54であることを確認した。そして、特定したDEAD-boxタンパクのDdx54が、オリゴデンドロサイトの発生・分化においてどのような発現と作用をするかについて検討した。Ddx54の作用を調べるために、強制的にマルチコピーのDdx54遺伝子を組み込んだトランスジェニックラットを作製し、オリゴデンドロサイトの発生・分化およびこれに続く髄鞘形成においてどのような変化が見られるかを検討した。トランスジェニック動物では野生型と比較して髄鞘形成が亢進していることをLFB染色によって確認した。4F2抗体を用いて、ラット中枢神経系において胎仔早期(E9)から成熟期までの発達過程における陽性細胞の発現と局在を免疫組織化学的に確認した。また、オリゴデンドロサイトのprimaly cultureを用いて、陽性細胞がオリゴデンドロサイトであり、アストロサイトおよびニューロンではないことを確かめた。さらに、Ddx54のオリゴデンドロサイトにおける働きをmyelin basic protein(MBP)との関係に注目し、Ddx54とMBPの遺伝子をHEK293細胞にcotransfectionしてこの二つの分子の関連性を解析して、Ddx54がMBPの4つのisoformと結合し、特に21.5kDaのMBP isoformが細胞核に移行してオリゴデンドロサイトの分化過程でのシグナル伝達に関与することを確認した。
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