研究課題/領域番号 |
21590200
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
齋野 朝幸 岩手医科大学, 医学部, 准教授 (40305991)
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研究分担者 |
阿久津 仁美 岩手医科大学, 医学部, 助教 (30398482)
佐藤 洋一 岩手医科大学, 医学部, 教授 (40118253)
松浦 誠 岩手医科大学, 医学部, 講師 (00405846)
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キーワード | プロテアーゼ活性化型受容体 / カルシウムイメージング / 外分泌細胞 / 外分泌機構 |
研究概要 |
外分泌機構でのプロテアーゼ活性化型受容体2の役割の解明を企図して、ラット耳下腺の細胞内カルシウム濃度([Ca^<2+>]_i)変動をモニターし、反応機構を解析する実験をはじめた。表記の研究に関する研究成果はまだ論文発表に至っていないが、現在までわかったことを列挙すると、 1. プロテアーゼ活性化型受容体2の合成ペプチドであるSLIGRL-NH_2(PAR2-AP)の投与によって、耳下腺腺房細胞の[Ca^<2+>]_i上昇を認めた。この上昇は細胞外のCa^<2+>除去によっても消失せず、Gd^<3+>存在下でも同様に消失しなかった。また、NO(一酸化窒素)donorの投与で細胞外のCa^<2+>流入は増強した。これらのことから、PAR-2はまず細胞内ストアを刺激して[Ca^<2+>]_iの上昇を引き起こし、それに続くCa^<2+>濃度の上昇は、non-capacitative calcium entryによるものと示唆された。 2. 上記機序についてさらに検討したところ、PAR-2APによる[Ca^<2+>]_iの上昇は、NO合成酵素(NOS)阻害剤のL-NAME前投与によって部分的に抑制され、リアノジン受容体抑制剤のテトラカイン存在下やADPリボシルサイクラーゼを抑制した状態でも同様な[Ca^<2+>]_iの上昇の部分抑制が見られた。以上から、PAR-2受容体刺激による[Ca^<2+>]_iの上昇にNOS、リアノジン受容体が関与している可能性が示唆された。 3. 上記の反応に対し、calmodulin kinase II(CAMK II)を抑制することによって[Ca^<2+>]_iの上昇は完全に阻害された。また、calmodulinを抑制した場合も上記と同様に完全抑制が見られた。その他各種キナーゼ阻害剤存在下にて[Ca^<2+>]_i上昇に変化は認められなかった。以上から、PAR-2受容体の[Ca^<2+>]_iの上昇反応において、NOSやリアノジン受容体の上流にcalmodulinやCAMK IIが存在していることが示唆された。 上記3つの結果を踏まえて来年度さらなる考察を加え、国際雑誌に発表することを目標とする。
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