研究課題/領域番号 |
21590203
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
村上 志津子 順天堂大学, 医学部, 助教 (20255649)
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研究分担者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
佐々木 光穂 順天堂大学, 医学部, 助教 (20432536)
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キーワード | GnRHニューロン / 軸索ガイダンス分子 / セマフォリン3A / ニューロピリン1 / スリット / ニワトリ胚 / ニューロン移動 |
研究概要 |
生殖機能に関わる視床下部GnRHニューロンは鼻プラコードで発生し前脳へ移動する。 GnRHニューロンの脳内移動における反発性軸索ガイダンス分子セマフォリン(Sema)とスリットの役割を知るために、以下の実験を行った。(1)ニワトリ胚を周いたGnRHニューロンを含む前脳組織片とSema3A発現細胞塊のロラーゲンゲル共培養アッセイでは、組織片から培地へ移動するGnRHニューロン数は対象群に比べて有意に減少する(昨年度報告)。同様の共培養系にて、Sema3A受容体ニューロピリン1(Np1)の抗体を投与した結果、Sema3AのGnRHニューロンに対する反発活性は有意に抑制された。GnRHニューロンに対するSema3Aの反発活性はNp1を介していることが判明した。前脳を移動中のGnRHニューロンはNp1mRNAを発現しており、Sema3AはGnRHニューロンの脳内移動に関与していると考えられる。(2)胎生16.5日齢(E16.5)のスリット1,2ダブルノックアウト(WKO)マウスにおける正中隆起部へのGnRH軸索投射異常はPO個体でも確認された。E16.5の脳内GnRHニューロン数を調べると、スリットWKOマウスは対照群に比べ前方の中隔・視索前野GnRKニューロン数の割合が有意に多く、一方、尾側の前視床下部GnRHニューロン数の割合は有意に減少していた。また、発達中の嗅覚系神経線維に発現するペリフェリン陽性線維の脳内異常投射が見られた。WKOマウスの第三脳室前壁近傍には異常な神経線維束が横走していることから、脳内移動環境における物理的バリアがGnRHニューロンの尾側方向への移動と、GnRH軸索投射障害を引き起こしたものと考えられる。
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