研究概要 |
我々は、生命の流れをつなげるのに重要な生殖細胞について、特に精子形成に着目して研究を続けているが、中でも精巣だけに発現しているたんぱく質に焦点を当てている。我々がクローニングした、精巣特異的に存在するプロテインキナーゼC(PKC)デルタIV,V,VI,VIIの、精巣における機能を知るために、本年度は以下の研究を行った。(アポトーシス)PKCデルタ分子は、細胞のアポトーシスに関与しているという報告が多くある。一方、精巣内ではアポトーシスによる細胞死が多いことが報告されている。そこで、これら精巣特異的PKCデルタ分子を培養細胞内で強制発現させ、アポトーシスとの関連を調べた。PKCデルタとEGFPとの融合タンパクを細胞内で発現させ、(1) EGFPの蛍光を用いてFACS sortingでPKCポジティブな細胞を選択し、ヘキストおよびdapiによる核染色像を観察、(2) アネキシンV染色によるアポトーシスの確認、(3) FACSscanによる細胞周期の解析等を行ったが、PKCデルタIV,V,VI,VII分子のアポトーシスへの関与は認められなかった。(ノックアウトマウス作成)精巣特異的なPKCデルタIV,V,VI,VII分子の機能を知るために、Cre-Loxシステムを導入したノックアウトマウスを作成する。この研究は新潟大学脳研究所 細胞神経生物学分野 崎村建司教授との共同研究で行うことになった。当該研究室はこれまで多くのC57BL6マウスでのノックアウトマウスを作成しており、非常に信頼度の高い研究室である。ノックアウトのためのゲノムDNAベクターは2009年内に完成し、2010年2月にはES細胞への導入が確認された。2010年3月現在、キメラマウス作成中との報告があった。このC57BL6ノックアウトマウスが継代できるようになれば、マウスの系統を戻す手間も必要なく、すぐに解析ができると考えられる。そのために、現在、Creマウスの検索と入手法を考察中である。
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