研究概要 |
我々は、生命の連続性に重要な生殖細胞の中でも、精子形成に着目して研究を続けている。我々がクローニングした、精巣特異的に局在するプロテインキナーゼC(PKC)デルタIV, V, VI ,VIIの、精巣における機能を知るために、本年度は以下の研究を行った。 【ノックアウトマウス作成】PKCデルタ遺伝子のエキソン7をコンディショナルにノックアウトするマウス作成を目指し、キメラマウス作出まで到達した(新潟大学脳研究所 細胞神経生物学分野 崎村建司教授との共同研究)。2010年3月現在、このマウスから仔マウスを取る段階に来ている。このキメラマウスはC57BL6で作出されており、マウスの系統を変えずにホモノックアウトを作り、表現型の解析に進むことができるという点で、非常に優れている。 【PKCデルタIVの基質探索】培養細胞内にPKCデルタIVを発現させると細胞がroundingする。このときの基質を知るためにMS解析を行った。その結果、PKCデルタIVは、細胞核の各ラミナを構成する中間径フィラメントである、ラミンB1をリン酸化することがわかった。ラミンB1はリン酸化によって重合・脱重合することが報告されており、細胞周期による核膜の構成状態に深く関与する。 【PKCデルタIVの下流分子の探索】PKCデルタIV分子の下流にある転写因子を知るために、転写因子AP-1, CRE, GRE, HSE, NF-kB, SRE, E2F, Myc, p53, Rbの結合配列をLuciferaseにつないだベクターを使ってPKCデルタI, IV, VI分子の効果を調べた。p53, c-MycがPKCdIVで減少傾向を示した。しかし、はっきりした大きな差は出なかった。
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