本研究の目的は、上皮-間葉転換後の弁成熟の過程におけるBMPとNotchシグナルの役割をあきらかにすることである。我々は、BMPが骨形成のlineageにクッション組織を誘導するのに対してNotchが抑制的に働き、弁の骨化や石灰化を防いで、正常な房室弁形成に寄与しているとの仮説を立てて、研究を行った。その結果、以下の3点が明らかになった。1) BMP2は心臓房室弁形成の過程で、Notchシグナルを増強させる。2) BMP2はヒアルロン酸の発現を増加させることで、細胞遊走をコントロールしており、その機序にはPI3Kシグナルが関与する。3)心臓房室弁形成において、BMPがもつ骨化作用をNotchシグナルが抑制することで、弁組織の成熟に関与している。
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