研究課題/領域番号 |
21590207
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 恒敏 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (90004746)
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研究分担者 |
尾形 雅君 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (50311907)
笠原 森 東北大学, 大学院・医学系研究科, 非常勤講師 (70161007)
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キーワード | 絨毛上皮細胞 / iIEL / グランザイムB / パーフォリン / 抗CD3抗体 / 免疫組織化学 / 電子顕微鏡 / in vivo |
研究概要 |
マウスに抗CD3抗体を投与して腸上皮細胞間リンパ球(IEL)を刺激すると、30分以内に空腸の絨毛上皮細胞(IEC)にDNA断片化が生じ、2時間後には約半数のIECが剥離する。しかし、絨毛内に剥離せずに残存したIECにはDNA断片化は検出されず、一旦DNA断片化を生じた細胞でDNA修復が行われる現象を見いだしている。IELの活性化に伴うIECのDNA断片化誘導については、これまでの予備的な所見で、IELはグランザイムB(GrB)を含有しており、抗体刺激後にIELからはGrBが放出される。さらにIECでのDNA断片化の消長とGrBの放出動態が一致しており、IECのDNA断片化誘導へのパーフォリン(Pfn)/GrB系の関与が強く示唆された。しかしこの実験系では、抗体投与からDNA断片化誘導までの時間が速く、絨毛の免疫組織化学的解析の結果、IEL内にPfnとGrBの共局在は認められなかった。また刺激後にもIELにおけるPfn遺伝子の発現変動はみられず、既報のDNA断片化現象とは大きく異なっている。さらにGrBによるDNA断片化誘導で活性化が報告されているカスパーゼ3も検出されない。このIEL活性化に伴うIECのDNA断片化現象は、既報のPfn/GrB系とは異なりPfnなしで誘導されるGrB単独による傷害活性、もしくは、他の因子との共作用による傷害活性という、新たなDNA断片化誘導機構の可能性が示唆された。
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