研究概要 |
消化管筋層における機能調節を行う間質細胞としてカハール介在細胞と線維芽細胞が存在し、固有のネットワークを筋層内に構成している。これらの細胞の免疫化学的性質を明らかにする目的で研究を進めた。また、これらの細胞は胎生期に間葉系細胞から発生することが知られ、その発生分化が如何に行われるか、如何なる分子により司られるか研究を遂行した。カハール介在細胞と線維芽細胞の研究を効率的に進めるため、それぞれc-Kit-GFPマウスとPDGFRα-GFPマウスを導入した。 1.カハール介在細胞の発生にはc-Kitが必須であることが知られるが、c-Kit遺伝子プロモーターに変異を持つWshミュータントマウスを解析し、c-Kit発現が見られないにもかかわらず、カハール介在細胞の一群が正常に発生分化していることを同細胞の特異的マーカーであるTMEM16a(anoctamin1)による免疫組織化学法と電子顕微鏡による微細構造解析から明らかにした。また、c-Kit分子のキナーゼ活性が失われたミュータントWjicマウスの解析を行い、胃ICC-IM、小腸ICC-MY、結腸ICC-IMの欠損と胃ICC-MY、結腸ICC-MYの減少を見いだし報告した(JSMR,2011)。 2.線維芽細胞の細胞学的特性と発生起源を明らかにする目的で、PDGFRα-GFPマウス消化管からセルソーターにより線維芽細胞を分取した。線維芽細胞はCD34発現の有無により更に分類出来るため、筋層からPDGFRα+/CD34-およびPDGFRα+/CD34+、粘膜からPDGFRα+/CD34+の表現型を持つ細胞を分取しDNAマイクロアレイ法により発現分子の解析を行った。
|