課題「膜骨格蛋白Protein4.1ファミリー遺伝子欠損マウスの機能形態解析」の2年目にあたる本年度は、4.1G遺伝子欠損(変異)マウス作製について遺伝子や蛋白レベルでの欠損の確認を完了し、私たちが4.1Gの発現と局在を発表してきたマウス精巣や神経系において野生型マウスとの比較解析を施行した。1つめとして、マウス精巣における4.1Gの精祖細胞における局在と細胞膜内接着蛋白CADM1との複合体形成についての成果をまとめて、国際誌に論文発表した。2つめとして、すでに発現と局在を報告した末梢神経系シュワン細胞における4.1Gについて、今回作製した4.1G欠損マウス坐骨神経での表現型の検討を開始した。その中で、4.1Gの細胞内輸送蛋白との関連を見出し、2011年解剖学会において発表し、これら4.1Gを含む蛋白複合体の末梢神経組織構築のための機能についての解析を継続している。さらに末梢神経シュワン細胞の非髄鞘形成タイプにおいても4.1Gが発現、局在していることを見出して国際誌にまとめた。一方、凍結技法を用いた顕微鏡観察の試料作製法の開発のためには、種々の組織における生体内凍結技法を行った組織形態を報告するとともに、蛍光消褪のないQ(量子)ドットを血管内注入した後に生体内凍結した腎臓や脾臓標本を作製し、生きた状態を反映した組織切片上において共焦点レーザー顕微鏡を用いて血管構築を3次元的に解析し、その成果を国際誌に発表した。
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