研究課題/領域番号 |
21590216
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
菱川 善隆 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60304276)
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研究分担者 |
佐藤 陽子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50398963)
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キーワード | ミトコンドリア / エストロゲン受容体 / 精巣 / エレクトロポレーション / エストロゲン / 免疫組織化学 / 転写因子 |
研究概要 |
エストロゲンとその受容体(ER)を介したミトコンドリアの組織・細胞特異的な機能と形態を制御する機構を解明するため、ミトコンドリアの構造、機能、細胞内分布が劇的に変化するマウス精巣の精子形成細胞について、正常およびエストロゲン処理によるERα及びERβの発現動態の組織細胞化学的解析ならびに上記転写因子群により誘導されるアポトーシスとエネルギー産生に関与するミトコンドリア内膜呼吸鎖蛋白質の発現変化について検討した。正常成熟雄マウスにミトコンドリアマーカー(pEYFP-Mito)をエレクトロポレーション法により精巣組織に直接in vivo遺伝子導入し、遺伝子導入後にエストラジオール(EB)とジエチルスチルベストロール(DES)をそれぞれ10mg/kg体重投与した精巣を用いた。その結果、正常精子形成細胞では、YFP-Mitoは細胞質に点状に出現し、ミトコンドリアマトリックス蛋白SP-22、内膜蛋白OxPhosと一致した。ERβは、核と核膜周囲の細胞質に出現した。一方、Bax陽性アポトーシス細胞では、YFP-Mito、OxPhos、並びにERβの発現が一致したが、SP-22は一致しなかった。また、EBならびにDES投与精巣ではBax陽性アポトーシス細胞の顕著な増加と、YFP-Mito並びにERβとの共発現が認められた。以上より、精子形成過程では、ミトコンドリアは細胞内局在部位の違いや細胞の分化段階により機能的に多様性を持つと共に、ミトコンドリアを介するアポトーシス誘導にERβの関与が示唆された。今後、ミトコンドリアの組織多様性を検討するため、ミトコンドリアが豊富な肝臓および褐色脂肪組織についても同様の検討を行うとともに、電子顕微鏡レベルでのミトコンドリア超微形態の解析を行っていく予定である。
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