研究課題/領域番号 |
21590225
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研究機関 | 甲子園大学 |
研究代表者 |
後藤 隆洋 甲子園大学, 栄養学部, 教授 (20135693)
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研究分担者 |
小池 正人 順天堂大学, 医学部, 准教授 (80347210)
柴田 昌宏 新潟大学, 医学部, 准教授 (10343253)
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キーワード | レスベラトロール / PC12細胞 / SIRT蛋白 / 肝細胞 / ミトコンドリア / 活性酸素消去酵素 / 細胞死関連蛋白 / 老化促進マウス |
研究概要 |
植物化学物質(ファイトケミカル)の1つで赤ワインポリフェノールのレスベラトロールのPC12細胞への影響、すなわち未分化(腫瘍性細胞)と分化(神経細胞)PC12細胞への影響に関して、レスベラトロールで活性化されかつカロリー制限で活性化され寿命延長に関与すると考えられている蛋白質であるSIRT1の作用について検討した。SIRT1がレスベラトロールのPC12細胞への作用に関与するかどうかを、SIRT1の活性を阻害する数種のインヒビターを用いて解析すると、レスベラトロールの作用は予想とは異なり、SIRT1を介さずに行われていることが示唆された。老化促進マウスの脳及び肝臓でのSIRT1の発現もレスベラトロールで変化がないことがわかり、レスベラトロールは今まで考えられているのと異なり、SIRT1を介してではなく別の経路を介してあるいは直接に老化あるいは変性細胞を改善することが示唆された。レスベラトロールの神経細胞への作用機序を明らかにする上で、レスベラトロールのカロリー/代謝関連機構への影響について、この化学物質が生体内の代謝の中心的存在である肝細胞ではどのようなメカニズムで改善させるか、その分子機構について解析した。35週令の老化促進マウスに20週間レスベラトロールを投与した肝細胞では細胞1個当たりの脂肪滴が有意に減少し、ミトコンドリアの数が増加した。さらに脂肪合成経路が抑制され分解経路が促進されている所見を得た。興味深いことに、脂肪滴の周囲にミトコンドリアが集積し、1個の脂肪滴に直接接触するミトコンドリアの数も増加した。同時にATP合成酵素、活性酸素消去酵素(SOD2)及び細胞死抑制蛋白(Bcl-xL)の発現が増加した。SIRT1の発現に変化がなかったが、ミトコンドリアに局在するSIRT3の発現は有意に増加したので、レスベラトロールはSIRT3を介してミトコンドリアを活性化し肝細胞老化を遅延させることが示唆された(論文投稿中)。現在、神経細胞においてもSIRT3とミトコンドリア関連蛋白との発現関係について解析している。
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