活性化血小板膜リン脂質上の凝固系活性化開始機構のイメージング解析

2010 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 21590230
• 研究機関: 浜松医科大学
• 研究代表者: 浦野 哲盟 浜松医科大学, 医学部, 教授 (50193967)
• 研究分担者: 鈴木 優子 浜松医科大学, 医学部, 助教 (20345812)
• キーワード: 血液凝固 / 血液レオロジー / 線溶

研究概要

【1】 ex-vivoにおける活性化血小板上のphosphatidylserine (PS)露出調節機構の解明と組織因子(Tissue Factor : TF)発現micro-particle集積の解析検討
in-vivoにおける血小板血栓形成の解析において血小板血栓の中央部の血小板のみにPS発現が認められた事実より、活性化血小板上へのphosphatidylserine (PS)の露出に及ぼすfibrin network形成の影響を共焦点顕微鏡を用いて検討した。血小板数を調節した多血小板血漿に蛍光標識fibrinogen (fbg)を加え、TF+カルシウムイオン、あるいはトロンビンで刺激することにより、フィブリン網形成とPS発現を時空間的に解析した。いずれの刺激によってもPSの発現とフィブリン網の形成が観察できた。PS発現に先立ち、蛍光標識fbgの血小板表面への結合が観察できた。GPIIB/IIIa拮抗薬によりその結合を抑制したり、結合に引き続く血小板骨格の再構築を抑制するとPS発現は減弱した。PS発現によりフィブリン網形成が促進される過程を標識TFの結合過程と共に検討中である。
【2】 in-vivoにおける活性化血小板上へのTF-FVIIa集積の解析
in-vivoにおいてレーザー照射あるいは塩化第2鉄刺激による血管内皮傷害時の血小板形成過程を共焦点顕微鏡を用いて検討し、血小板の傷害血管内皮下コラーゲンへの結合を介在するvon willebrand factor (vWF)の関与を解析した。vWFはlarge multimerとして機能し血小板粘着を介在するが、ultra large multimerから小分子に切断する特異酵素(ADAMTS13)が欠損すると、血小板血栓の数と共にその大きさが増すことが遺伝子欠損マウスを用いた実験で明らかになった。現在PS発現に対するvWFのサイズの影響を検討中である。

研究成果

• [雑誌論文] コレステロールと抗血栓効果 (2011)
  • 著者名/発表者名: 鈴木優子、浦野哲盟
  • 雑誌名: 循環器内科 巻: 69(2) ページ: 170-176
• [雑誌論文] 「技術講座」ユーグロブリンクロット溶解時間(Euglobulin Clot Lysis Time : ECLT) (2011)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟、柴山知子、鈴木優子
  • 雑誌名: 検査と技術 巻: 39(2) ページ: 86-92
• [雑誌論文] 喫煙による血栓傾向の機序について教えてください 喫煙が血栓傾向をおこす機序 (2011)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟
  • 雑誌名: 血栓と循環 巻: 19(1) ページ: 31-34
• [雑誌論文] 抗血栓療法「凝固線溶系と血栓形成」 (2010)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟, 鈴木優子
  • 雑誌名: 治療学 巻: 44(6) ページ: 17-20
• [雑誌論文] GFP強発現ADAMTS13遺伝子欠損マウスの生体内イメージング解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟, 鈴木優子, 最上秀夫, 坂野史明
  • 雑誌名: 血栓と循環 巻: 18(2) ページ: 4-7
• [雑誌論文] Novel mechanism of the expression and amplification of cell surface-associated fibrinolytic activity demonstrated by real-time imaging analysis.
  • 著者名/発表者名: Suzuki, Y, Urano T
  • 雑誌名: Journal Pharmacological Sciences 巻: (in press)
  • 査読あり
• [雑誌論文] In vivo imaging analysis of the interaction between unusually large von-Willebrand factor multimers and platelets on the surface of vascular wall.
  • 著者名/発表者名: Rybaltowski M, Suzuki Y, Mogami H, Chlebinska I, Brzoska T, Tanaka A, Banno F, Miyata T, Urano T
  • 雑誌名: Pflugers Arch-Eur J Physiol 巻: (in press)
  • 査読あり
• [雑誌論文] Life-threatening haemorrhage and prolonged wound healing are remarkable phenotypes manifested by complete PAI-1 deficiency in humans.
  • 著者名/発表者名: Iwaki T, Tanaka A, Miyawaki Y, Suzuki A, Kobayashi T, Takamatsu J, Matsushita T, Umemura K, Urano T, Kojima T, Terao T, Kanayama N.
  • 雑誌名: Journal of Thrombosis and Haemostasis 巻: (In press)
  • 査読あり
• [学会発表] 血栓溶解療法:安全域と治療域の分子指標 (2010)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟, 鈴木優子
  • 学会等名: 第5回 日本血栓止血学会 学術標準化委員会シンポジウム
  • 発表場所: 福岡
  • 年月日: 2010-10-30
• [学会発表] In-vivo Imaging Analyses of Platelet Thrombus Formation (2010)
  • 著者名/発表者名: T.Urano, Y.Suzuki, H.Mogami
  • 学会等名: The 6th Congress of Asia Pacific Society on Thrombosis and Haemostasis
  • 発表場所: Bali, Indonesia
  • 年月日: 2010-10-13
• [学会発表] 線溶系検査の意味するところ (2010)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟, 鈴木優子
  • 学会等名: 第57回 日本臨床検査医学会学術集会
  • 発表場所: 京王プラザ
  • 年月日: 2010-09-09
• [学会発表] Intra-vital analyses of plasminogen binding to platelet-rich micro-thrombus (2010)
  • 著者名/発表者名: A.Tanaka, Y.Suzuki, T.Urano
  • 学会等名: 20th International Congress on Fibrinolysis and Proteolysis
  • 発表場所: Boston
  • 年月日: 2010-08-24
• [学会発表] 血栓形成機構の生体内イメージング解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟
  • 学会等名: 第122回 日本薬理学会関東支部会
  • 発表場所: 静岡県立大学
  • 年月日: 2010-06-05
• [学会発表] Global Fibrinoolysis Assays (2010)
  • 著者名/発表者名: Urano T
  • 学会等名: 56th Annual Meeting of the Scientific and Standardization Connnitttee of the ISTH (SSC2010)
  • 発表場所: Cairo
  • 年月日: 2010-05-22
• [学会発表] 生体内顕微鏡を用いた微小局在血栓へのプラスミノーゲンの集積の解析 (2010)
  • 著者名/発表者名: 田中晶, 鈴木優子, 浦野哲盟
  • 学会等名: 第33回 日本血栓止血学会学術集会
  • 発表場所: 鹿児島
  • 年月日: 2010-04-22
• [学会発表] 生体内顕微鏡による微小血栓形成とプラスミノーゲン集積の解析
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟, 田中晶, トーマスブルゾスカ, 鈴木優子, 最上秀夫
  • 学会等名: 第88回 日本生理学会大会
  • 発表場所: 震災により誌上開催
• [図書] 抗血栓薬の最前線-基礎と臨床- (2011)
  • 著者名/発表者名: 浦野哲盟(分担)
  • 総ページ数: 315
  • 出版者: 医薬ジャーナル