本研究課題では生体深部に存在する細胞の超微細形態を低侵襲観察する生体内視顕微鏡法を開発し、膵β細胞におけるインスリン放出のリアルタイム観察を可能とすることで、糖尿病研究モデルの確立ならびに血糖制御機構を解明する。21年度は高解像度レンズ付イメージングファイバ(IF)の製作、2)ファイバー結合式共焦点顕微鏡(FCM)の構築、3)FCMの性能評価を行った。IFは単一分泌顆粒を捉えるために製作を行い、純化石英製の素線の有効径1ミクロンを約1万本(縦横解像度は各100)束ねたものに専用のミニチュア対物レンズを結合させて先端部を直径1.5mmとした。組み立て時の接着剤を無蛍光性とすることで自家蛍光を軽減できた。IFの保持および先端位置決め用の専用ホルダを設計・製作することで、生体への挿入角度が易調整でき、先端の位置も安定化できた。FCMはIF、レーザー光源、レーザースキャナ(ニポーディスク)、ビーム径調整レンズ、カップルレンズ、ピエゾ素子、高感度冷却CCDカメラで構成した。光源、カップルレンズ前側焦点面、ファイバ端面が光学的共役関係となるよう微調節することで光学結合率および共焦点蛍光画像のS/N比を向上でき、蛍光画像は毎秒30枚以上取得できた。蛍光画像の空間解像力は蛍光ビーズを用いて評価した。カバーガラスに貼りつけた直径1ミクロンの蛍光ビーズの画像を取得して、ピント位置を変位させたときの明るさプロファイル変化量からXY平面の空間分解能は2.5ミクロン、Z軸方向は5ミクロンと判定した。構築したFCMを用いて、培養膵β細胞株(insulin-GFPで蛍光標識したINS1細胞)の観察を行ったところ、GFP蛍光画像は取得できたが、単一β顆粒までは解像できなかったため、22年度はIFの性能ならびに照明法の改良を行うことから着手する。
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