1) 嗅覚系CO_2受容細胞の解析システムの構築 ラット嗅上皮でみられたCO_2に対するカルシウム応答は、マウス嗅上皮においても観察されたものの、その頻度や再現性に問題があり、現在さらに解析システムの再構築を継続して行っている。電気生理学的な手法は研究分担者の鵜川がパッチクランプ法にて行っているが、現在までにコンスタントな応答は観察できておらず、さらに条件を検討している。 2) CO_2受容細胞に発現する遺伝子の解析 CO_2受容細胞はcarbonic anhydrase II(CAII)を含有していることが報告されており、我々も免疫染色をしてその事実を確認した。加えてこの細胞にはphosphodiesterase _<2A>(PDE_<2A>)やguanylyl cyclase D(GC-D)に対する免疫陽性反応も見いだされた。一方、CAIIは鼻腔上皮細胞に発現しCO_2から水素イオンを発生させることから、水素イオンもCO_2受容において重要な要素であることが示唆された。水素イオンに感受性のある受容体遺伝子として、transient receptor potential vanilloid type1(TRPV1)やacid-sensing ion channel(ASIC)が知られており、我々はTRPV1遺伝子の発現についてin situハイブリダイゼーション法や免疫組織化学により検討を重ねている。今後はCAIIやTRPV1に加えて、ASICや他の水素イオン感受性受容体の発現と分布についても詳細に検討していく予定である。
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