研究概要 |
本研究課題ではモルモットの卵管采線毛上皮細胞の線毛運動周波数(CBF)を測定し、生殖周期に伴いCBFが変化することを明らかにした。このCBF変化は生殖周期中に変化するエストロゲンとプロゲステロン濃度により決定されていた。すなわち卵胞期では、CBFは、βestradiol(βE_2)濃度上昇に伴い12Hzから15Hzへ増加したが、最高濃度に達すると12Hzに減少した。排卵、黄体期では、βE_2濃度減少に引き続きprogesterone(PRG)濃度が一過性に上昇し、CBFは12.5Hzに維持されていた。黄体期後、βE_2とPRG濃度は共に低く保たれ、CBFは18Hzに増加した後、徐々に減少した。βE_2 benzoate(βE_2B)とmedroxy PRG(mPRG)を皮下投与し、卵管采CBF変化を調べると、低濃度のβE_2B(4mg・day^<-1>・kg-water^<-1>)では、CBFは15Hzに増加し、高濃度のβE_2B(40mg・day^<-1>・kg-water^<-1>)では、CBFは12Hzに減少した。このβE_2BによるCBF変化はICI-182,780(βE_2受容体阻害剤)により消失した。mPRG(4-40mg・day^<-1>・kg-water^<-1>)は、CBFは12Hzに減少させ、mifepristone(PRG受容体阻害剤)はこのCBF変化を消失させた。両阻害剤の投与は、CBFを18Hzに増加した。このように、生殖周期中のCBFの変化は、βE_2BあるいはmPRG投与により再現された。本研究の結果は、ovariancycle中のモルモット卵管采のCBFがβE_2とPRGの濃度により決められていることを示している。また、エストロゲンが高濃度に維持されているときには、プロゲステロンの効果は認められず、反対にプロゲステロンが高濃度に維持されているときには、エストロゲンの効果は認められなかった。これらの結果は両ホルモンに相互作用が有る可能性を示唆している。
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