研究課題
これまでの研究成果から、モルモット卵管采の線毛運動周波数(CBF)が卵巣周期中に伴い変動するエストロゲンとプロゲステロンの濃度により決められていることを明らかにしてきた。すなわち、排卵に伴う急激なエストロゲンの上昇は一過性のCBF上昇を起こし、その後の低エストロゲン、プロゲステロン濃度によりCBFは徐々に上昇し、最終的に分泌期を維持するための高プロゲステロン濃度によりCBFは一過性に減少した。月経期の低エストロゲン、プロゲステロン濃度ではCBFは再度減少し次のサイクルになった。この卵巣周2期に伴うCBF変化はエストロゲン、プロゲステロンを投与することで再現できた。低エストロゲン濃度はCBFを増加、しかし高エストロゲン濃度はCBFを低下させた。また高プロゲステロン濃度ではCBFは減少した。両レセプターの阻害剤存在下、あるいは排卵が起こっていない若いモルモソトでは非常に高いCBFが維持されていた。一方で、エストロゲンが高濃度に維持されているときには、プロゲステロンの効果は認められず、反対にプロゲステロンが高濃度に維持されているときには、エストロゲンの効果は認められなかった。これらの結果は両ホルモン間の相互作用による可能性を示唆している。高濃度の両ホルモンは、非常に高いCBFを維持した。このことは、エストロゲンがプロゲステロンの効果を抑制し、反対にプロゲステロンがエストロゲンの効果を抑制していることを示している。この両ホルモンによるクロス反応は、レセプターの発現を抑えたためではないことがWestern biotにより示された。これらの結果から、エストロゲンとプロゲステロンのクロス反応は、レセプター以降のシグナルを相互抑制することで起こっていることが示唆された。
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