PKGによるThr^<69>リン酸化によって、TRPC6チャネルに対する受容体・機械刺激の協働活性化機構がほぼ完全に抑制されることが分かった。これと同様の分子機序が、神経体液性因子や機械ストレスによって惹起される心肥大反応に対する心房性Na利尿ペプチドやホスホジエステラーゼ5の抑制効果に寄与していることが、in vitro及びin vivoの実験から明らかとなった。更に、TRPC6チャネルのN末端にあるアンキリンリピートとアクチン細胞骨格の相互作用が、機械刺激・受容体刺激活性化モード⇔自発活性モード間のシフトを制御している可能性が示唆された。また、TRPC6の家族性巣状分節状糸球体硬化症(FSGS)遺伝子変異がアンキリンリピート上にあり、その変異が、自発活性モードの出現と機械刺激応答の減弱、受容体刺激応答の亢進と密接に関与していることが判明した。また、Gestalt Domain Detection Algorithm-Basic Local Alignment Tool (GDDA-BLAST)を用いたアプローチによって同定されたTRP-2領域にもFSGS変異があり、TRPC6の活性化に重要な変化をもたらすことが明らかとなった。最後に、正常および高血圧モデルラットにリポソームを用いたアンチセンスオリゴDNAの導入(DOTAP;Roche等)やアテロコラーゲンによるin vivo siRNA導入法(AteloGene)を行い、PLA_2や血管特異的ω-hydroxylaseをノックダウンによる血管反応減弱に関して、予備的な結果が得られた。
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