研究課題
TRPC6蛋白質は、血管収縮性神経伝達物質・ホルモンの受容体刺激や血圧上昇・血流等の機械刺激で活性化されるCa^<2+>流入チャネルである。このチャネルの活性化に対する、膜脂質、細胞骨格、リン酸化による統合的制御の分子機構を明らかにし、更にその病態生理学的意義を探ることを目的として以下の実験を行った。TRPC6チャネルN端のThr69がPKGやPKAでリン酸化されると、アクチン細胞骨格との相互作用が弱まり、ジアシルグリセロールや20-HETE等の受容体刺激・機械刺激の脂質メディエーターを介した、TRPC6チャネル活性化が著しく減弱することが明らかとなった。また、その近傍にある遺伝子変異(家族性巣状糸球体硬化症のP112Q、M132T、T143S変異)によって、受容体反応が亢進し、機械刺激反応が著しい増強あるいは抑制を受けることから、N端と細胞骨格との相互作用はTRPC6チャネルの受容体刺激・機械刺激応答に必須であり、これを脂質メディエーターが修飾していることが示唆された。更に、これらの結果と一致して、一次培養心筋細胞の伸展刺激によるTRPC6を介した興奮性Ca応答が、phosphodiesterase V阻害薬sildenafil投与によるcGMP/PKG系の活性化によって抑制されることや、心房性Na利尿ペプチドによる心筋細胞のcGMP/PKG系の活性化が、TRPC3/TRPC6を介したCa流入による病的な心肥大応答を抑制することが明らかとなった。また一酸化窒素ドナーであるSNAPの長時間投与によってTRPC6による自発活性の誘発が観察された。
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http://www.med.fukuoka-u.acjp/physiol/index-j.htm
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