研究課題
N端と細胞骨格との相互作用はTRPC6チャネルの受容体刺激・機械刺激応答に必須であり、これを脂質メディエーターが修飾しているという実験事実を踏まえ、以下の研究を遂行した。(1)TRPC6-N端のみ発現する停止コドンを導入した変異体、及びN端のアンキリン様リピート(ANK1、ANK2)の欠失変異体を作成して、受容体刺激や機械刺激に対する応答を調べたところ、N端のみの発現によってドミナントネガティブ的な抑制がみられた。また、ANK2の欠失によって、受容体反応・機械刺激応答が共に強く抑制された。前者の実験では、膜への蛋白質発現が強く阻害されたが、後者では殆ど変化がなかった。以上より、N端遠位側のアンキリンリピートはTRPC6チャネルと機械刺激伝達経路との機能的な相互作用に必須であり、それ以外のN端領域がチャネル蛋白質の膜発現に必須であることが示唆された。(2)PKGでリン酸化されるN端69番目トレオニン(Thr69)をアラニンで置換すると(T69A)、細胞骨格アクチンとの相互作用が増強し、PKGのリン酸化を行っても影響を受けなくなった。また、Thr69をグルタミン酸を置換して(T69E)疑似的なリン酸化状態をつくるとアクチンとの相互作用が減少し、またPKG7)リン酸化による抑制効果が見られなくなった。更にyeast hybrid法を用いて、N端近位側(アンキリンリピートの近接領域)にあるロイシンジッパーモチーフを系統的に変異させると、TRPC6チャネルとPKG-1の相互作用が損なわれた。以上より、ANKに隣接した領域にPKG-1が繋留されており、そのT69リン酸化作用によって、TRPC6チャネルの受容体・機械刺激応答が負の制御をうけていること、それにはアクチンとの相互作用が重要であることが示唆された。
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