電位依存性Caチャネルの中で、T型は静止膜電位付近でカルシウム流入を引き起こすことができるユニークなチャネル特性を持ち、細胞増殖制御や遺伝子発現など様々な生理作用に関与すると言われている。本研究では、T型Caチャネルが癌の進展にどのような働きをするかについての検討をヒト乳癌由来細胞を用いて行った。その結果、T型Caチャネルのアイソフォームの1つであるCav3.1は、癌の増殖抑制に働き、また、細胞死(アポトーシス)を誘導することがわかった。別のアイソフォームCav3.2にはこれらの作用は見られなかった。これらのことから、Cav3.1チャネルは癌抑制因子の1つとして働くことが示唆された。
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