研究概要 |
1.行動リズムと概日リズムの共役解析 時間隔離実験室において、8時間の位相前進による脱同調プロトコールを低照度下(<10ルックス)で4日間行い、被験者に自転車エルゴメーターによる身体運動(2時間×2回)を覚醒期間に負荷し、その後被験者をフリーラン条件下に置いて、睡眠覚醒リズムと概日リズム(血中メラトニンリズム)との共役関係の変化を解析した。その結果、身体運動を負荷した実験群では、負荷しない対象群に比較し、睡眠覚醒リズムの再同調は有意に促進したが、血中メラトニンリズムの位相は変化せず、2つのリズムの共役は対象群より低下した。一方、5,000ルックスの高照度下で脱同調プロトコールを負荷すると、実験群では睡眠覚醒リズムだけでなくメラトニンリズムの再同調も促進し、両者の共役関係は維持された。この結果から、身体運動は睡眠覚醒リズムだけでなく、概日リズムに対する高照度光の同調作用を促進することが示された。 2.身体運度の位相反応曲線の作成 10ルックス以下の低照度下で自転車エルゴメーターによる4時間の身体運動を異なる睡眠覚醒リズム位相で4日間連続負荷し、メラトニンリズムを指標として概日リズム位相反応曲線の作成を試みた。その結果、覚醒期の前半及び後半の運動負荷はメラトニンリズム位相に有意な影響を及ぼさなかった。この結果から、身体運動は低照度下では概日リズムの位相に影響しないことが示唆され、前記の実験結果と一致した。
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