8時間位相前進プロトコールによる身体運動の血中メラトニンリズムに対する効果 低照度かにおける1日1回(2時間)4日間連続の身体運動は、血中メラトニンリズムに有意な位相反応を起こさなかったことから、低照度環境下での身体運動のリズム同調効果は疑問視された。そこで、8時間位相前進プロトコールを高照度光下で行うことにより、4日間連続しておこなった2時間の身体運動のメラトニンリズムに対する効果を検討した。 1)実験方法 9名の被験者を、対照群(4名)、運動群(5名)に分け、2時間の身体運動を起床4時間後からと6時間からの1日2回行わせた。運動負荷には自転車エルゴメーターを用いた。被験者は、隔離実験室に入った第1日目の夜に睡眠脳波を取り、翌日の起床後10時から1時間ごとの採血を行い、血中メラトニンリズムを測定した(前値)。第3日から睡眠覚醒スケジュールを8位間位相前進させ、被験者の睡眠時間をZT8からZT16の8時間に限定した。室内を低照度とし、4日間連続して同じ時刻に身体運動を負荷した。身体運動負荷の4日目に24時間採血を行い、血中メラトニンリズムを測定した。その後、被験者をフリーラン条件下におき、6日日に血中メラトニンリズムを測定した。 2)実験結果 睡眠覚醒リズムは4日間の位相前進プロトコールで対照群、運動群ともに新しいスケジュールに同調した。一方、血中メラトニンリズムは両群とも同程度の位相前進を示したが、新しいスケジュールに完全には同調しなかった。その後のフリーランセッションでは、メラトニンリズムは両群とも同程度に位相後退した。 3)結論 4日間連続して行った高照度下で行った身体運動は、低照度下よりも有意に大きな位相反応を血中メラトニンリズムに示したが、対照群以上の効果はなかった。身体運動の位相変位促進効果は光を介している可能性がある。
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