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2011 年度 実績報告書

レム睡眠中の情動反応における扁桃体の役割について

研究課題

研究課題/領域番号 21590250
研究機関福島大学

研究代表者

小山 純正  福島大学, 共生システム理工学類, 教授 (80183812)

キーワード脳・神経 / レム睡眠 / 自律神経系 / 情動 / 夢 / 扁桃体 / 徐波睡眠 / ラット
研究概要

扁桃体は、報酬や嫌悪の意味合いをもつさまざまな刺激に反応し、攻撃、防御、逃避といった情動反応や情動の変化にともなう自律神経系の反応にも密接に関係している。レム睡眠中には、外因性の情動性入力がなくても、覚醒中の情動反応を思わせるような自律神経系の大きな変動が観察される。この反応は、レム睡眠中の夢見を反映しているとも考えられる。ヒトでは、非侵襲的な脳機能測定法により、レム睡眠中に扁桃体の活動が上昇することが報告されている。したがって扁桃体では、レム睡眠中に外因性の情動刺激なしに、覚醒時の情動反応を引き起こす機構と同様の機構が働いていると考えられる。本研究では、レム睡眠中の情動変化のメカニズムの解明を目的とし、昨年度から引き続き、レム睡眠中の血圧変動に関与する扁桃体ニューロンについての解析を進めた。また、嫌悪刺激(電気ショック)を無条件刺激とし、ある周波数の音を条件刺激として、条件刺激に対する血圧、心拍、扁桃体ニューロンの反応を覚醒時とレム睡眠時で比較した。
頭部に装着したプレートで、ラットを脳定位装置に固定し、脳波、筋活動から睡眠・覚醒状態を判定し、下行大動脈圧に刺入した圧トランスデューサーから血圧(心拍数)を記録し、ガラス電極により扁桃体のニューロン活動を記録した。
扁桃体ニューロンの36%は、レム睡眠中に最も高い活動を示すニューロン(REM activeニューロン)であった。そのうちの約1/3は、レム睡眠中の血圧変動と高い相関をもって活動変化を示した。それらの変化は、常に血圧の変動に先行していた。このようなニューロンは、主に扁桃体中心核、基底外側核から記録された。条件刺激音に対して、レム睡眠時にも、覚醒時同様の血圧心拍の上昇がみられた。扁桃体のニューロンの約40%は、覚醒時に条件刺激音に対して(血圧上昇をともなって)反応した。これらのニューロンは、レム睡眠時にも、同じ条件刺激音に反応した。このニューロンのいくつかは、レム睡眠中の血圧変動と高い相関をもつタイプのニューロンであり、レム睡眠中に条件刺激音なしでも、血圧変動とともに、活動上昇がみられた。以上の結果から、扁桃体のレム睡眠中の活動は、覚醒時の状況に依存する、といえる。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (9件)

  • [雑誌論文] Acupuncture of the sacral segment suppresses bladder activity and bladder activity-related neurons in the brainstem micturition center2012

    • 著者名/発表者名
      Wang H., 他4名, Koyama Y.
    • 雑誌名

      Neurosceince Reasarch

      巻: 72 ページ: 43-49

    • DOI

      10.10.16/j.neures.2011.09.007

    • 査読あり
  • [学会発表] 扁桃体ニューロンにより睡眠中に生じる大きな血圧変動2012

    • 著者名/発表者名
      外舘圭一,松田翔平,青柳俊史,豊巻知史,辛島彰洋,小山純正
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      2012-03-31
  • [学会発表] オレキシン神経欠損マウスにおける青斑核ノルアドレナリン神経活動変化2012

    • 著者名/発表者名
      辻野なつ子, 常松友美, 山中章弘, 小山純正, 櫻井武
    • 学会等名
      第89回日本生理学会大会
    • 発表場所
      松本
    • 年月日
      2012-03-31
  • [学会発表] REM sleep regulation in the Amygdala2012

    • 著者名/発表者名
      小山純正
    • 学会等名
      脳・肝インターファイスデディシン研究センターシンポジウム
    • 発表場所
      東京(招待講演)
    • 年月日
      2012-03-18
  • [学会発表] Firing properties of the neurons in the amygdala during sleep and wakefulness in rats2011

    • 著者名/発表者名
      Koyama Y.
    • 学会等名
      Worldsleep2011
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-10-20
  • [学会発表] On the neuronal regulation of sleep-wakefulness-Neurophysiological-approaches-. (Educational Symposium)2011

    • 著者名/発表者名
      Koyama Y.
    • 学会等名
      Worldsleep2011
    • 発表場所
      京都(招待講演)
    • 年月日
      2011-10-17
  • [学会発表] Burstic eye movements during paladoxical sleep were not under the control of superior colliculus2011

    • 著者名/発表者名
      Ogawa K., Takahashi K., Saito N., Kitahama K., Yamazaki K., Koyama Y.
    • 学会等名
      Worldsleep2011
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2011-10-17
  • [学会発表] レム睡眠中のラット扁桃体ニューロンの相動的活動2011

    • 著者名/発表者名
      小山純正,青柳俊史,豊巻知史
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] ナルコレプシーモデルマウスにおけるノルアドレナリン神経活動の変化2011

    • 著者名/発表者名
      辻野なつ子, 常松友美, 山中章弘, 小山純正, 櫻井武
    • 学会等名
      第34回日本神経科学大会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2011-09-15
  • [学会発表] 多点電極で探るラット脳幹の睡眠調節ニューロンのふるまい2011

    • 著者名/発表者名
      小山純正
    • 学会等名
      包括型脳科学研究推進支援ネットワーク夏のワークショップ
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2011-08-23

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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