本年度は、第一にドーパミン作動薬であるbromocritpine(BC)によるエストロジェン受容体(ER)の転写活性化の抑制を確認する実験を行った。BCによるestrogen-response element(ERE)依存性のER転写活性化能の抑制がER蛋白発現抑制によるものではないことを、Percoll法によってプロラクチン産生細胞の割合を50%から90%にまで濃縮した初代培養細胞集団を用いてWesternblotting法によって調べた。ER蛋白はエストロジェン24時間後には大きく減少したが、この発現レベルはエストロジェン及びBCの同時投与によってさらに減少することはなかった。次に、ER転写活性のレポーターであるluciferaseの活性だけでなくluciferase mRNAレベルでのBCによる抑制が起きているかをquantitative real time PCR法によって調べたところ、エストロジェン及びBCの同時投与によってmRNAはluciferase活性と並行して変化することが確認された。 第二に、BCがER転写活性化能だけでなく、他のプロモーター活性に対しても影響を及ぼすか否かを検討した。SRE依存性プロモーター活性は血清によって増加したが、BCはこの増加に影響を与えなかった。また、NFKB依存性プロモーター活性はIL-1bによって増加したが、この増加もBCによって変化を受けなかった。 第三に、プロラクチン産生初代培養細胞だけでなく細胞株においてもBCの抑制作用が現れるか否かを、ERおよびドーパミン受容体を持っプロラクチン産生細胞株細胞であるGH4ZR7細胞を用いて調べた。GH4ZR7細胞ではエストロジェンによってER転写活性化能が増加し、この増加はBC同時投与によって初代培養細胞程ではないが抑制された。
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