研究概要 |
(目的)RNAiコレクションを用いて、これまで解析が不可能だった細胞膜受容体に対して網羅的な同定解析技術を確立する。この手法で生殖器に存在するE2細胞膜受容体の経路を解明し、女性ホルモン応答性疾患のターゲットを解明する。この研究は、抗がん剤やイオンチャンネルなど生命現象や疾患の根幹に関わる説明につながる。 1.細胞培養 RNAiコレクションをヒトの遺伝子で作成しているため、ヒト由来の培養細胞を使い、特にE2の応答が研究に観察されるHeLa, SiHa, Hep2細胞(子宮頸ガン), MCF7(乳がん), Ishikawa細胞(子宮体がん)の培養条件を確立した。これらの細胞の中で、E2の応答が最も強い細胞のアッセイシステムを優先して行う。 2.ハイスループットアッセイによるRNAiコレクション導入条件の確立 嗅覚の遺伝子を除き、ゲノム上、G蛋白結合型受容体であることが予想されるGPCR 411種類をアルゴニズムにかけたRNAiコレクションを培養細胞に導入する条件を確立した。均一に細胞に挿入するため細胞分散と同時に遺伝子を導入できる簡便法であるリバーストランスフェクション法を確立した。 3.遺伝子導入が100毎以上のプレートになるため、自動分注ロボットによるプログラム作成を行い、テストランを繰り返し、安定して大量の遺伝子導入ができる手法を確立した。 4.内因性受容でのアッセイを行うため、微量の検出システムが必要となる。本来予定していたあるカルシウムアッセイでは不安定であり、検出感度も不十分なため、安定したデータを出すことができなかった。このため、細胞表面の電気抵抗を測定するCell keyを用いたが十分な感度を得ることができなかった。さらに転写活性を指標にした測定システムに変更しているが感度の面では十分とはいえなかった。現在は、測定システムを細胞全体のインピーダンスを測定するシステムに変更して測定をスタートした。
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