研究課題/領域番号 |
21590258
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
堀尾 修平 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80145010)
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研究分担者 |
上山 敬司 和歌山県立医科大学, 医学部, 准教授 (50264875)
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キーワード | 視床下部 / 室傍核 / 腹内側核 / 糖尿病 / 摂食調節 / 神経回路 / ヒスタミン受容体 / イムノトキシン |
研究概要 |
摂食行動の調節機構は、過食による肥満症、糖尿病等の治療を考える上で重要である。視床下部に摂食中枢および満腹中枢が存在することは古くから知られていたが、最近レプチンを始めとする種々の摂食調節因子が発見されたのを契機に、より正確な摂食の神経回路が描きなおされている段階である。本研究では、特定のタイプのニューロンのみを特異的に破壊するという選択性にすぐれた手法を用いることで、摂食調節の神経回路を明らかにすることを目指している。このために、視床下部に存在するヒスタミンH1受容体発現ニューロンに着目した。それは、H1拮抗薬が食欲増進をおこすこと、H1受容体欠損マウスが肥満をおこすことなどからこのニューロンが摂食調節に関与すると考えられることによる。このニューロンを視床下部で選択的に死滅させるために、イムノトキシンを用いた細胞標的法によりH1受容体発現細胞を特異的に死滅させる遺伝子改変マウスを作製した。このマウスではH1受容体の換わりにイムノトキシン感受性であるヒトIL-2Raが発現しており、イムノトキシンの局所投与によりH1受容体発現細胞のみを選択的に死滅させることが可能である。さらに、マウス視床下部において、H1受容体発現ニューロンの局在を明らかにするため、H1受容体のRNAプローブを用いたin situ hybridization法によりH1受容体発現を調べた。その結果、室傍核と腹内側核に非常に強い発現がみられた。また遺伝子改変マウスでのヒトIL-2Raの発現を調べたところH1受容体の発現とほぼ一致していた。これらの部位は、H1受容体の摂食調節への関与が予想されている部位である。現在、イムノトキシンの微量注入により選択的ニューロン死滅を生じさせる実験条件の設定を行っている。次いで、その操作を行ったマウスを用いて摂食関連の行動を中心に解析し、当該のH1受容体発現ニューロンの機能を明らかにしていく。
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