研究概要 |
本研究では、発光タンパク質を用い、発光イメージングテクニックを駆使することで、既存の技術では困難であった24時間周期で起こる時刻依存的な時計ダンパク質の核-細胞質間シャトルの分子機構を解明することを目的とする。本年度は独自に開発した高発光強度型緑色発光タンパク質ELuc(Nakajima et al., PLoS ONE, 5, e10011, 2010)が時計遺伝子Bmal1のプロモーターの制御下で発現・発光する組換えマウス(Bmal1-ELuc)を作出し、視交叉上核のスライス培養における長期発光イメージングを行った。その結果、ELucを用いることにより、従来のホタルルシフェラーゼを導入した視交叉上核スライス培養での発光イメージングよりも時間分解能が5倍以上高いイメージングが可能であることを明らかにした。続いて、Bmal1と逆位相で発現することが知られている時計遺伝子Per2のプロモーターの制御下で赤色発光タンパク質が発現する組換えマウス(Per2-SLR2)を作出し、Bmal1-ELucとの掛け合わせにより、Bmal1プロモーター及びPer2プロモーターの制御下で緑色及び赤色発光タンパク質が各々発現するデュアルカラーマウスを世界に先駆けて樹立した(Noguchi et al., Biochemistry, 49, 8053, 2010)。色分離計測法により中枢及び末梢組織における各々の発現変動を同時に測定、Bmal1及びPer2は各組織においてぼぼ完全に逆位相の発現を示ずが、それらの周期及び位相は組織特異性を示すことを明らかにした。また、マウス繊維芽細胞NIH3T3を用い、ELucを細胞質に、一方SLRを核に集積させ、2種の光学フィルターにより各々の発光を分離することで、オルガネラレベルでの分解能を持つデュアル発光イメージングにも成功した。
|