本年度はまず、ルシフェラーゼを細胞内のどのオルガネラに局在化させても、発光イメージング画像が得られるかを検討した。ミトコンドリア、小胞体、細胞膜の各局在化シグナル配列を高発光強度型緑色ルシフェラーゼ(ELuc)のN末端またはC末端にインフレームで融合させ、CMVプロモーターの制御下でNIH3T3細胞に一過的に過剰発現させた。この際、既に発光イメージング画像が得られている、細胞質、核、ペルオキシソーム移行型ルシフェラーゼをポジティブコントロールに用いた。各細胞を1細胞発光イメージングに供したところ、細胞質、核、ペルオキシソームに局在化させたルシフェラーゼでは明瞭なイメージング画像が得られた。しかし小胞体局在型では低解像度の画像が得られたものの、細胞膜およびミトコンドリア局在型では有意な発光シグナルが検出されなかったことから、局在化させるオルガネラによっては更に詳細な条件検討が必要であることが明らかとなった。続いて時計タンパク質の一種であるCRY2タンパク質の細胞内局在化の時間変動を可視化するため、Cry2遺伝子のN末端にELucを融合させ、CMVプロモーター制御下でNIH3T3細胞に一過的に過剰発現させた。その結果、CRY2-ELuc融合タンパク質は測定開始後1日程度まで、数時間間隔での細胞質と核内の移行を繰り返すイメージング画像を得ることに成功した。一方、CRY2の核移行配列に変異を導入したCRY2-ELuc融合タンパク質は常に細胞質に留まったことから、本研究で得られた発光イメージング画像はCRY2の生理的な時刻依存的局在変化を捉えていることが示唆された。
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