研究課題
本研究は、ヒスタミンH3受容体が、遺伝子から転写・翻訳された後、小胞体から細胞表面に輸送されるトラフィッキングの分子メカニズムを明らかにする事を目的としている。前年度までに、DRiP78タンパク質がH3受容体カルボキシ末端細胞質内ドメインに結合する事、またDRiP78の過剰発現により、細胞表面のH3受容体量が減少すると共に細胞内のH3受容体総量も減少する事、さらにこれらの現象にプロテアソームによるタンパク質分解系が関与することが明らかにされた。今年度は、H3受容体カルボキシ末端に、試験管内で、新たにPhLP、CLIC6と呼ばれる細胞由来タンパク質が結合する事が明らかになった。PhLPはDRiP78と共に、H3受容体による情報伝達系の主要な2次メッセンジャーであるヘテロ3量体Gタンパク質のシャペロンであることが知られており、この事からH3受容体の情報伝達複合体アセンブリーと細胞内トラフィッキングに、これらのタンパク質が重要な機能を果たす事が示唆された。また、CLIC6はドパミンD3受容体と結合する事が報告されているが、我々の実験から、CLIC6がドパミンD1受容体とも特異的に結合する事が明らかとなった。この事から、CLIC6が、最近報告されたH3受容体とドパミンD1受容体による細胞内ヘテロ2量体の形成に関与している可能性が示された。H3受容体とドパミンD1受容体のヘテロ2量体の形成は、ヒスタミンのH3受容体を介した情報伝達に質的に大きな影響を与えるため、CLIC6がH3受容体の細胞内トラフィッキングと共に、情報伝達の質的調節にも関与している事が示唆された。
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